家族の問題

介護家族の心のケア

難病、認知症、末期がんといった人と同居する家族の役割が「介護」です。少子高齢化は介護する家族にさまざまな問題を投げかけてきました。私は2000年頃から、介護家族の問題について研究と臨床を続けてきました。介護家族の凝集性(まとまり)、表出性(コミュニケーション)、統制性(役割分担)が高まると介護者も要介護者もQOL(生活の質)が高まることを研究して博士号をとっています。これを臨床応用するために、介護家族への関わりを家族療法の観点から行ってきています。
 介護者はなかなか自ら外来には来れません。時間もないですし、私が頑張らなければ誰がやるの・・といった気持ちから、知らない間に自分を追い込んでいます。
 介護うつ、介護心中、介護自殺などはこうした状況で生じます。
 介護者以外の方の家族の方も相談に来てください。
関連書籍
 介護家族の理解とケア 渡辺俊之著
 ケアを受ける人の心を理解するために 渡辺俊之著
 ケアの心理学 渡辺俊之著
 介護で幸せになる 渡辺俊之著  
 その他
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発達障害と家族

自閉症スペクトラム障害、ADHDなどの代表的な発達障害は家族と密接に関係しあいます。障害としらずに親が必要以上に厳しく、時には虐待的になることもあります。大学までは成績優秀でしたが就職してから不適応を引き起こし、家族の無理解のためにうつ状態になる大人もいます。また自閉症スペクトラム障害の配偶者は、その対応で疲弊し困惑し、うつ状態、不安障害などになることもあるでしょう。発達障害の支援は親子や家族を対象に行うべきだと思っています。
 


夫婦やカップルの問題

夫婦やカップルを形成し維持することは簡単ではありません。
 互いにまったく違う家族文化で生まれ育っているからです。
 いわゆる実家を「原家族」と家族療法では呼びますが、原家族で身につけた家族の習慣(掃除、料理、子育て、介護など全て)や家族の価値観(人生、レジャー、金銭など)の違いは、結婚してから明確になることが多いのです。また子育てや介護をめぐっても夫婦は衝突します。
 私の専門の対象関係論的家族療法(原家族のイメージや価値の夫婦への影響を理解する治療)を一般外来に活用しています。
 結婚できない大人、夫婦の緊張、離婚と別居、同性愛カップルなど多彩な問題に対応していきます。